イギリス軍24時間レーション
メニュー”G”

4ヶ月ほど前に試食を終えたメニューなのですが、ようやくレポートを書きました。
今回はちょっと趣向を変えて遊んでます。
いつも同じパターンでレポートを書くのも、あんまり面白くないですからね。

このレーションは、ゆうパックのいちばん小さい箱くらいのサイズの
ダンボール箱に、24時間ぶんの飲食物が入っているので
添付されている紙を参考に、自分で該当メニューを取り出して食べます。
いちおう朝・昼・夕と、メニューは決められているんですよ。
だけどもちろん、自分で好きなようにアレンジしてもOKだと思います。

後述しますが「チーズ抜いてありますよ〜」のシールにご注目を。


<シェフのひとこと>
トマトソースの酸味で、爽やかな朝のスタートを…。

朝食メニュー

* ミートボールとパスタの
  トマトソース
* オレンジジュース

いたってシンプルですが、これが本来「朝食」として決められているメニューなようです。朝からパスタというのも、ちょっとすごいかも。これってやっぱり、お国柄や食文化の違いなのでしょうか。お洒落なイメージを狙って、ちょっと花なんかを飾ってみました。でも食べるのはレーション。


<シェフのひとこと>
本場イギリスのアフタヌーンティーをお楽しみください。

昼食メニュー

* オートミールブロック
* フルーツビスケット
* ブラウンビスケット
* クランチ&レーズンチョコレート
* ミルクチョコレート
* フルーツキャンディ
* オレンジジュース

いちばんボリュームがあるのは昼食。しかも甘いモノばかり! 昼食というより「豪華なティータイム」といった感じです。さすがイギリス。考えてみたら、この時にミルクティー選ぶべきでしたね。えっと、本来はチーズスプレッドも同梱されているのですが、狂牛病の関係なのか輸出時に抜かれてました。


<シェフのひとこと>
一日のしめくくりは、濃厚なチョコレートプディングで。

夕食メニュー

* チキンシチュー
* クラムチャウダースープ
* チョコレートプディング
* ミルクティー

夕食はまたシンプルに。脂肪分と糖分が結構多いので、翌日の朝に胃がもたれるんじゃないかと少しばかり心配です。これにふわふわのロールパンあたりがついたら、ちょっといい感じの洋食ディナー気分を味わえるような気がします。

↓ ここから先は、各メニューごとの試食レポートです ↓

フルーツビスケット&ブラウンビスケット
(Fruit Biscuits & Brown Biscuite)

フルーツビスケット(写真左)は、細かく刻んだドライフルーツ、レーズン、木の実が焼きこまれていました。瓦煎餅みたいに少し堅いです。フルーツグラノーラのような味でした。美味しいっ!!
一方ブラウンビスケット(写真右)は、フルーツビスケットよりしんなりしています。とはいえ乾パンくらいの堅さはありました。細かく刻んだナッツが入っていて、とっても風味豊か。紅茶に合う味です。
お皿は当サイトでおなじみ、20年以上前に「ヤマザキ春のパンまつり」でもらったものです。貴重なイギリスレーションなのに。いい加減に見栄えの点も考えて、お洒落なお皿でも買おうかなあ?(笑)

オートミールブロック
(Oatmeal Block)

MREのオートミールクッキーよりずっとやわらかく、しっとりした食感でした。刻んだナッツが入っていて、ほんのり甘く、噛みしめると香ばしい風味が口の中に広がります。冷たい牛乳に合いそうだなと思いました。

チョコレートバー
(ミルクチョコ/クランチ・レーズンチョコ)

チョコレートというのは、温度管理を怠っていて溶けたり固まったりを繰り返すと、こんな感じに表面が白っぽくなってしまうんですよ。味には問題ないらしいんですが、見た目で食欲を減退させてしまうのは確かだと思います。でも、このチョコレートの味は本当に良かった! 同じものが2枚入っているのかと思いきや、ライスパフとレーズンが入ってさくさくしたクランチレーズンチョコと、適度に空気が混入されてなめらかな食感になっているミルクチョコの2種類でした。輸入食料品店で売ってたら買いたいです。日本のチョコとはまた違う美味しさですよ、これ! 見た目はこんなんですが、めげずにかぶりついた人だけがシアワセになれます。いや、たぶん本来はこんなひどい外観じゃないはずですけど…(笑)。

フルーツキャンディ
(Boiled Sweets)

Boiled Sweets」と袋に書いてあるので、茹でたフルーツかな? なんじゃそりゃ? なんて思ってましたが、実はフルーツキャンディだったのでした。カラフルで駄菓子チックな、懐かしい色合いのキャンディです。薄い紙に包まれているのですが、溶けてすっかり紙とキャンディがくっついちゃっていて…はがすのがちょっと大変でした。

ミートボールとパスタのトマトソース
(Meatballs and Pasta in Tomato Sauce)

シェルマカロニと大き目のミートボールが、ピリッと辛いトマトソースで煮込まれています。レーションのミートボールは、日本の一般的なミートボールに比べて小ぶりのものが多いんですが、これは食べ応えがあっていい感じです。でも、これが朝食メニューというのがなあ。イギリスでは朝からパスタ食べるのが普通なのでしょうか? 胃がきつそう…。

チキンシチュー
(Chicken Stew)

小さめにカットされたチキンが入ったシチューです。手前に大きく見えるかたまりは、たぶんジャガイモ。食べていて味がよくわからなかったんですよ。チキンシチューという言葉で、無意識のうちにホワイトソースを想像していましたが、考えてみたら「肉類や野菜を汁の中で煮込んだ料理全般」を指すんですよね、シチューって。すいません、ちょっとこれだけ試食レポートを無くしてしまい、どういう味だったのかあまりよく覚えてないのです。ただ、舌がかなり逃げ腰だったのは強烈に記憶に残っています…。

紅茶&コーヒー

イギリスといえば紅茶、しかもミルクティーの本場! 以前紅茶にハマっていろいろ調べたんですが、ミルクティーがいちばん飲まれているのはイギリスなんだそうです。紅茶にレモンを入れるのはアメリカが始めたことだそうで。そんなわけで、本場イギリスのミルクティーに期待を寄せていたわけだったのですが、どうも経年劣化で粉末ミルクがダメになっていたらしく、紅茶とは思えない妙な風味になってしまいました。コーヒーも香りはいいのに、ミルクを入れると途端に飲めなくなっちゃって。とっても残念です。やっぱりレーションとはいえ、早め早めに喫食するのが一番ですね。もっとも、入手した時点で既にその状態になっていたとすると、もう諦めるしかないわけですが…。レーション喫食は「運」も大きいのですね〜。

クラムチャウダースープ

レーションにスープ、しかもクラムチャウダーです。今までに見なかったパターンなので、期待いっぱいで口に含んだところ…うええっ、これもだ。前述したように乳製品がひどい味になっていたのですが、スープにまでその魔の手は伸びていたのでした。お湯を注いだ途端にたちのぼる不可思議な香り。古くなった牛乳をあっためて、表面の塗装が剥げるくらい使いこまれた公園の鉄棒でぐるぐるかきまわしたような風味のスープでした(なんちゅう表現じゃ…)。

チョコレートプディング
(Chocolate Pudding in Chocolate Sauce)

「チョコレートプディング・イン・チョコレートソース」です。見た目も名前もチョコレートまみれのデザートですね。これは冷やした方が美味しいだろうなあと思い、アルミの袋ごと冷蔵庫で一晩ひやし、食べごろになったあたりで食べてみました。チョコレートソースがこれでもかというくらいあるので、かなりすごいことになっています。甘党なのでこれは楽しみだったのですが、昼食のチョコレートバーとは比較にならないくらい凄まじい甘さでした。どうやったらここまで甘くてくどくてねっちょりしたチョコレートソースが作れるんだろう…。なめらかな舌触りとはとても言いがたく、なんだか妙にねちょねちょしているんですよ。プディングの方も「うーむ」という味で、半分も食べないうちにリタイアしてしまいました。うわーん!

↓ ここから下は、同梱品のピックアップです ↓

謎のポケットティッシュ


同梱されているアクセサリーのうちひとつ、ポケットティシュ。「for men」と書いてありますが、ティッシュに男性も女性もないんじゃないかなあと思ったんですよ。よく見ると上のほうに黒いシールが貼られていて、はがしてみるとパックのミシン目にそって、セロファンが斜めに切れました。日本のポケットティッシュとは違うなあ…。そして中には、しっかりした作りのティッシュが10枚ほど折りたたまれて入っていました。こんなポケットティッシュを見るのは初めてですが、この存在は知識として知っているような。ん? これはもしかして…。
本棚からあるイギリスについて書かれた本を取り出して、パラパラとめくってみると、あーやっぱりこれだ!
このティッシュは、イギリスの「ペーパーハンカチーフ」というもので、名前のとおり「紙で出来たハンカチ」という位置づけなのですね。本からちょっと抜粋してみると…。
”一辺が二十センチほどの正方形で、ティッシュよりは丈夫な(到底水洗便所には流せないようなしっかりした材質の)紙が三枚位重ねてある。そうして周囲にはまさしくハンカチらしくなにやらレース風の装飾が押し型で施され、言ってみれば例の紙ナプキンの変形という風情なのだ。これを、幾重にも折り畳んでビニールパックに押し込めてあるわけで、したがって、一パックにはせいぜい十枚程のペーパーハンカチーフが収まっているに過ぎないのである。”
『イギリスは愉快だ』(林望著/文春文庫)P.83〜84より
見事に特徴がピッタリ一致しています。そっかあ、これがそうだったのか! ちなみにこの本によると、イギリスではこのペーパーハンカチーフで鼻をかむのですが、一度使ったら捨てるということはせず、ポケットにしまっておいて体温で乾かし、乾いたらまた使う…ということを二度三度と繰り返してから初めて捨てるんだそうです。なにしろハンカチ扱いなので。うーん、意外なところでイギリスの文化に触れられました。
ハンカチだったら確かに男性用と女性用がありますが、女性用ペーパーハンカチーフはどう違うんでしょうね。もっとパッケージや押し型が繊細だったりお洒落だったりするのかな?

マッチ

マッチといえば箱のものが定番だと思いますが、これはちょっと面白いです。点火に使う石(?)の部分と、火薬がついた軸の部分が別々になった上で密閉されているんですよね。これだったら雨で濡れてしまうこともないし、荷物などでこすれて引火してしまうこともないわけで。うまい方法ですよね。

というわけで、個人的にはかなりお気に入りのレーションでした。
特に昼食というか、ビスケット類とチョコレートは絶品!
なるべく状態のいいものを手に入れることができたら(イギリスレーションに限りませんが)
きっと至福のひとときを過ごすことができるかと思いますよ。

実はまだ試食していないメニューが少し残っていますので、
それはまた改めて、追加アップしますね!

しかし読み直してみると、ペーパーハンカチーフの記述だけ詳しいレポートですな(笑)

since 2005/05/03